黒い影

今週のお題「ちょっとコワい話」

何年か前の夏の夜の話です。

家族が寝静まった夜中、私はひとり、リビングでテレビを見ていました。

0時を過ぎた頃でしょうか、玄関に続くリビングの扉を「コツ、コツ」と小さくノックする音がします。

最初は気のせいだろうと無視していましたが、「コツ、コツ」「コツ、コツ」と何度も聞こえてきます。

家族はリビング隣の和室で寝ていたので、家族の誰かでないことは確かです。

「誰かが玄関にいるのかも?」そう考えると、背筋がぞっとしました。

知らないふりをして寝てしまおうかと思いましたが、そこに何かがいることは確かなので、一家の主としてスルーするわけにはいかず、意を決し、「誰かいますか?」といるはずのない誰かに声をかけながら、扉を開けてみました。

すると、玄関の暗闇の中からこちらに向かって黒い大きな影が勢い良く飛んできました。

思わず「アバババババ」と素っ頓狂な悲鳴をあげてしまいました。

飛んできた黒い影の正体は、玄関の虫かごで飼っていたカブトムシ(♂)でした。

自力で虫かごの蓋をこじ開け(たぶん餌をあげたときにちゃんと締めてなかった)、リビングの明かりに向かって飛んできていたのです。

子どもには大人気のカブトムシですが、羽を広げて飛んで来られるとかなりコワいです。

その後、リビングを飛び回るカブトムシをなんとか捕まえ、虫かごに戻した一夜の出来事でした。

人に喜んでもらうこと

この記事は、はてなスタッフアドベントカレンダー2016の25日目です。昨日はid:kiyo-shitの「栄養が好き」という記事でした。

今年の、はてなスタッフアドベントカレンダーのテーマは「好きなもの」です。

そういえば昨年のアドベントカレンダーで「はてなバリューズを作りました」というエントリを公開しました。はてなバリューズは「○○が好き」というフォーマットで、はてなで働くスタッフみんなで共有しているものです。私は色々と気が多く、好きなもの・ことが多いので、今年は何について書こうかなと迷いましたが、せっかくなのでバリューズの中にある「笑顔が好き」という項目に関連したことを書きます。

  • 笑顔が好き
    • 良い表情で働こう
    • 一緒に働く同僚の笑顔を増やそう
    • はてなに関わる人(ユーザー、顧客、株主、社員、家族)が笑顔でいられるような会社を目指そう
バリューズ - 株式会社はてな

「笑顔が好き」という項目には、その下に3つのサブ項目を掲げています。「笑顔」というキーワードに慣れないスタッフもいましたが、人に喜んでもらいたい、楽しんでもらいたい、という私の想いを込めてみました。

人を「喜ばせたい」「楽しませたい」

これまでの自分を振り返ってみると、人に喜んでもらう、楽しんでもらうということについて、一貫して「好き」と言える人生だったと思います。

小学生の頃は、紙に迷路を書き、ゲームのようにパッケージングして友だちに遊んでもらったり、工作をして人にプレゼントしたりしていました。両親が共働きで、学校が終わると母方の祖父母の家に預けられていたため、職人で手先が器用だった祖父の影響を受けていたのかもしれません。

人前に出て何かしら表現するのも好きだったので、中学生のときはバスケ部とかけもちで音楽部に入りギターを練習したり、高校生のときは友人に誘われてお芝居にチャレンジしたりしていました。特にお芝居はがっつりはまりました。 確か、文化祭が初舞台だったと思います。人前で演技をして誰かの感情を動かすことの楽しさを知りました。そういった芸能の道で食べていきたいと本気で思っていた時期もありましたが、大学進学の際に生まれ育った鹿児島県を出て、世間の広さ、自分の井の中の蛙っぷりを知り、その夢は諦めてしまいました。

その後、パソコンの購入と共にホームページに出会い、当時はテキストサイトが流行っていましたので、同じように雰囲気をマネてテキストを書いてはホームページを更新することをしていました。当時は大学の研究室のサーバーをお借りして、ホスティングしていました。読んでいたのも大学の同期がほとんどだったと思います。

大学では原子力工学科で原子力について学んでいましたが、原子力以外の道はないものかと考えて、就職したのが前職のSIerでした。システムを作るという経験を通じて、出来上がったシステム・サービスを喜んでくれるクライアントとユーザーを目の当たりにし、プログラミングで人を喜ばせることができる可能性に感動したのを覚えています。大小色々なシステム開発を経験し、もっと個人ユーザーに近いサービスを作ってみたいということで、2008年にはてなの門戸を叩きました。

はてなという会社に魅力を感じたのも、サービスやシステムを提供するにおいて、そうした楽しさを重視してそうだなと外から見て感じたからです。

喜んでもらえる「何か」をもっともっと提供したい

システムやサービスの本質は、それがあることで便利になり、喜んだり楽しんだりしてくれるユーザーがどのくらいいるかだと思います。また、会社として取り組む以上は、そのシステムやサービスにユーザーが価値を感じ、それを継続的に提供していけるだけのビジネスモデルをちゃんと作ることが、会社の使命だとも思っています。

人を喜ばせる、感動させるものを作るためには、それをやっている当人たちがまず楽しくないといけないのではと思います。もちろん、ただ楽しいだけではだめで、想像力を働かせて必死で考え、検証し、もがき苦しんだ上にでてくる何かこそが大切なのですが、その苦しみも含めて楽しめるくらいの気持ちの余裕があるといいなと思っています。

「笑顔が好き」という言葉には、そういった気持ちも込めています。基本的には楽しく、ときに必死でもがき苦しみながらも、人に喜んでもらえる何かをもっともっと提供できるようにしていきます。

昨年作ったバリューズを大切にして、ユーザーの皆さんに喜んでいただけるサービスづくりに、これからも取り組んでいきます。

さいごに宣伝

ちょうど先日、2018年の新卒採用の募集も開始しましたので、一緒に人に喜んでもらえるサービスを作っていきたい方にぜひともご応募いただきたいです。

hatenacorp.jp

Mashup Awards 2016に審査員として参加してきました #MA_2016

12/17に品川の寺田倉庫で開催されたMashup Awards 2016のイベント"FESTA 2016 By MashupAwards"に参加してきました。

Mashup Awardsも今年で12回目。年1回のイベントなので、干支が一周したことになります。

Mashup Awards といえば、今から10年ほど前、Mashup Awards 2ndのときに、前職の同期と作品を作って応募し、賞をいただいた思い出があります。会社の新人研修にて初めてプログラミングを覚えたタイプのエンジニアでしたが、仕事以外の作品で、他の方に評価してもらったことで、エンジニアとして自信をつけ、その後のコミュニティ活動やブログ執筆の活性化、キャリアイメージの明確化といったところに大きな影響があったと思っています。賞金も大きいですし、個人的には芸人にとってのM-1グランプリっぽい位置づけなんじゃないかなと(言い過ぎですかね)。

私はMA2、MA3で作品を応募して以来、作品を出すことはなかったのですが、縁あって昨年決勝戦の審査員としてお声がけいただきました。卒業生として久しぶりに参加したMashup Awardsは、WebサービスAPIを組み合わせてサービスを作るというMashupの基本コンセプトを大きく飛び越え、Webサービスだけなく、IoT的な電子工作なども取り込んだ、ITの総合格闘技的なイベントへと進化していました。

そして、今年のMashup Awards 2016の決勝ステージは、総合格闘技というイメージをさらに進化させたイベントになっていました。

写真などでイベントの様子をお伝えしつつ、決勝に残った作品の中から、特に印象に残っているいくつかのサービスを紹介してみたいと思います。

会場の様子

会場は先にも書きましたが、品川の寺田倉庫でした。自動車が入りそうなくらいの大きさのエレベーターに乗って会場に入ります。この時点でちょっと非日常感が演出されてました。


360度全方向に観客席が並べられたステージ。雰囲気はUFCオクタゴンっぽいです(金網はもちろんありませんが)。


発表者はステージに立ち、会場の雰囲気にも後押しされているのか、身振り手振りを交えながらテンション高く発表されていました。


Mashup Awardsのロゴを貼り付けた撮影用のメガネが置いてあったので、思わず一枚撮っていただきました。40歳手前のおじさんが、思わずこういうことをしてしまうくらいに会場の温度感は高かったです。


決勝の審査員の面々で一枚パチリ。左から、リクルートの麻生さん、Coineyの久下さん、BASEの藤川さん、私、レレレの山本さんです。

特に印象に残った作品

おばけパズル

obakepuzzle.com

おばけを型どったパズルです。非接触で電気が供給されて、決まった位置に来ると木のパーツの目が光ります。ひとつひとつのピースが木の手触りで感触が良く、プロダクトとしての完成度がとても高かったのが印象的でした。


なんとかめーかー りある

http://hacklog.jp/works/49475hacklog.jp

実際のブロックを決まった位置に置くと、ゲームの中にブロックが登場して、ゲームのプレイヤーを邪魔することで対戦できるというパズルゲーム。詳しくはリンク先の動画をご覧ください。実際にデモでプレイさせてもらいましたが、ゲームのプレイヤーとブロックを置く方とで情報が非対称な感じがおもしろかったです。学生さんの作品で、予算が少ない中、様々な工夫で作られた苦労のあとが見えました。


Walky / ディスレクシアの人のための字幕読み上げ機能付きYouTubeプレイヤー

http://hacklog.jp/works/49115hacklog.jp
http://hacklog.jp/works/49813hacklog.jp

Walkyは、白杖を持たれている方が道路を歩いていて路上駐車などの障害物に困っているという問題を解決するためのスマート白杖。目の前の障害物を画像認識して、白杖の上部に設置された指向性スピーカーでユーザーに対して危険を知らせてくれるというアイデアです。
ディスレクシアの人のための字幕読み上げ機能付きYouTubeプレイヤーは、識字・読字に問題がある方が、YouTubeの字幕が読めなくて困っているという問題を解決するための読み上げツールです。
両者とも、生活の中で困っていることを解決しようという意識で取り組まれていて、素晴らしいと思いました。


srt.js : YouTubeの映像と連動したマッシュアップ作品を簡単に作れるJavaSriptフレームワーク

今年優勝を勝ち取った作品です。
タイトルの通り、JavaScriptフレームワークなんですが、発表自体はこのフレームワークを利用した映像と連動したマッシュアップ作品10連発という感じで、勢いがありました。
普通は何かしらのMashup作品を練り上げて応募すると思うのですが、作者の栗原さんはMashup愛が半端なくあり、フレームワーク化してみんなも動画と連動した作品をどんどん作ろうぜと呼びかけているのが、Mashup Awardが一周した感じがありました。
審査の席でもセキュリティ的な懸念点を指摘させていただきましたが、今大会の中でも相当な熱量をもって取り組まれていたので、審査の席でも一票をいれさせていただきました。


さいごに

実は弊社もAPI提供企業として、Mashup Awardsには毎年APIを提供させていただいております。UGC系のWebサービスはてなブックマークはてなブログなど)のAPIの他に、サーバー監視サービスのMackerelもAPIを提供しており、IoT系の作品と相性が良い使い方ができるのではと思っていますので、Mashup Awards 2017に応募しようと思われている方はぜひ一度ご検討いただければと思います。

Mashup Awards 2016の運営の皆さん、お疲れ様でした!

はてなで役立ったSIer時代の経験・スキル

この記事は、はてなディレクターアドベントカレンダー2016の3日目です。昨日はid:yashitani_wの「これからマネージャーになるエンジニアのあなたへ」という記事でした。

ここ2年ほどは社長としての仕事ばかりで(当たり前ですね)、ディレクターとしての業務を離れて久しいですが、ディレクターに関することというお題なので、ディレクターだったときに「SIerで培った経験・技術で、はてなに転職して役立ったこと」について書いてみたいと思います。

私は2008年10月に東京の大手SIerを退職し、はてなの京都オフィスへと転職してきました。SIerとひとことで言っても、実に色々なプレイヤーがいますので、私がSIerでどんなことをしていたかをざっくりと紹介しておきます。

SIer時代

私が所属していた部署は「旅行系システム」を担当していました。いわゆる旅行の予約サイトはもちろん、特殊な端末での予約システム、旅行会社の基幹システム刷新、海外施設の登録用サイトなど、プロジェクトの内容は様々でした。大手と書いたとおり、ほとんどのプロジェクトは元請けでやらせていただいてました。小さいプロジェクトでは自分でプログラムを書くこともありましたし、大規模プロジェクトでは協力会社にシステムを発注して、そことのやり取りをメインで進めたりもしました。毎日定時帰りでリリースもスムーズという順風満帆に進むプロジェクトも、連日終電帰りでリリース前後で大炎上というようなプロジェクトも経験しました。
大手のクライアントがいる会社だと、入社してずっと特定のシステム、領域担当ということも珍しくはないので、色々な経験ができたという意味では、私は大変ラッキーだったのだと思います。

はてなで役立ったSIer時代の経験・スキル

さて、本題の「SIerで培った経験・技術で、はてなに転職して役立ったこと」について、2つ挙げさせていただきます。

ヒアリング力

例えば「Aという機能を作って欲しい」という依頼を受けたとき、本当に必要なのはAという機能ではないことが割りとあります。依頼を出した人が「Bということを実現するために、必要なのはAという機能である」と思い込んでいることがあるので、ただ単に要件を聞くだけではなく、その裏にある本当に必要なことをヒアリングしていく必要があります。SIerの頃は、クライアントとの要件定義や、協力会社との仕様調整で、このあたりの嗅覚が磨かれました。
はてなに入社後は、開発メンバーとの会話の中で発せられる言葉の裏にある本意、真の意図を知るのに大変役立ちました。人間なんて不器用な生き物なので、自分が考えていることをそのまま相手に伝えることができる人はほんの一握りしかいません。そういう前提に立って、相手のことを尊重しながら必要なことを聞き出す力は、様々なクライアントとコミュニケーションすることが多かったSIerで得られたスキルだと思います。

ブレイクダウン力

SIer時代には、徹底してタスクをコントロール可能な範囲まで分割する訓練をうけました。スケールの大きな話やシステムを、咀嚼可能な範囲まで分割して考えることができるのも、そうした経験を踏んでいたからだと思います。
目の前にそびえる大きな山でも、結局やることは目の前の道を一歩ずつ歩いていくことにすぎません。途中、難所が出てきたとしても、その場その場に最適な仕組みやツールを利用して、コツコツと歩いていけば、どんな大きな山も超えることができます。もちろん、そのためには、先を見越した準備が必要で、コツコツプロジェクトを進めていくメンバーとは別に、全体を俯瞰し、必要な道具を揃え、予め排除できる障害物を排除しておく人が必要になります。全体を分割せずに、ただ勢いのみで大きな塊に挑んでいくと、最初は進んでいくことができるかもしれませんが、途中で自分たちのいる場所を見失い、進んでいくのはこの道で良いのかと不安になって、結局ストップしてしまうことになるでしょう。

さいごに

今から8年前、SIerからはてなというインターネットサービス事業者に転職するにあたって色々と不安な点がありました。特に、SIerの中でプログラミングを経験したとはいえ、Webの世界で日々プログラミングで研鑽しているエンジニアと対等に仕事ができるだろうか、というのが一番の心配事だったように思います。
実際に入社してみて、その不安は杞憂でした。当たり前ですが、実際のプロジェクトは単にプログラムを書いていくだけでは進みません。プロジェクトを推進していくという点において、SIerでの様々な経験で得られた知識やスキルが大きな助けになったと思っています。
SIerの中で積んだ経験をフィールドを変えて活かしたいという方、ぜひご応募お待ちしております!
アドベントカレンダーと言いつつ、採用のエントリになってしまいましたね)

hatenacorp.jp

さくらじまハウスに参加してきました

7/17、さくらインターネットさんとAWSジャパンさんが協賛するエンジニア向けのイベント「さくらじまハウス」に登壇者として参加してきました。「さくらじまハウス」というイベントの名前から分かるように、開催場所は我が故郷である鹿児島。それも桜島でした。

https://sakurajimahouse.tech/


当日の早朝に新幹線に乗って京都から鹿児島へ。桜島へは鹿児島市内から桜島フェリーに乗って15分です。

フェリーの乗船時間は短いですが、フェリーの中ではうどんが売っていまして。鹿児島県民でフェリーに乗ったことがある人はだいたい食べたことがあるんじゃないかというソウルフード。お昼ということもあり、列に並んで、手元にうどんがやってきたときには上陸まであと7分という感じでした。慌ててかきこみます。懐かしい味に鹿児島の地に立っていることを改めて実感させられました(正しくは海の上にいるわけですが)。



イベントの最初のセッションが「鹿児島で実現!Part 1 憧れのCTO対談!」と題して、BASE株式会社のCTO藤川さん(えふしんさん)と、先日退任を発表した弊社の元CTO(登壇時は現役)の田中(id:stanaka)の対談でした。ASCII.jpさんの下記記事に内容がまとめられています。CTOの仕事の内容や、心構えなど、期せずして、イベントでの対談の内容が新CTOである大坪(id:motemen)へのメッセージともとれる内容になっていました。

ascii.jp


私はイベントの最後のセッション「鹿児島で実現! Part 2 夢のエンジニア社長対談!」に、さくらインターネットの田中社長と登壇させていただきました。

年齢こそ同じですが、社長としてもエンジニアとしても尊敬する田中社長と並んでお話させていただく機会をいただけて、大変幸せなひとときでした。

この8月で社長に就任して丸2年が経過しました。周りの人に助けてもらいながらなんとか頑張ってまいりました。社長としては大先輩の田中社長との対談は、色々と気付かされること、ヒントをもらえることが多く、登壇している私にとって大変有意義なものになりました。参加していた皆さんも田中社長のお話に頷かれることが多かったように思います。



最初にこの登壇の話をいただいたときに、鹿児島出身の僕はまず思いました。桜島でイベントしてどのくらいの人が集まるのだろうか、と。

海の日を含む三連休の中日に設定されていますし、どのくらいの集客力があるのだろうかと、ドキドキしてましたが、蓋を開けてみたら参加者は140名を突破して、大変賑わいのあるイベントになりました。懇親会で色々な参加者の方とお話させていただき、参加者やスタッフのみなさんの熱量を感じることができました。田中社長も「メリットうんぬんよりも、人の熱量が大事」とおっしゃっていましたが、本当にその通りだと思います。

私もこれまで以上に「熱量」をもって3年目の社長業に臨みたいと思いました。

新CTOの就任によせて

執行役員兼CTOのid:stanakaこと田中慎司の退任を発表しました。後任のCTOとして指名したのはid:motemenこと大坪弘尚です。

両名について私の思い出話を少しだけ。

id:stanakaとの思い出といえば、ぱっと思いつくのはMackerelについてです。
Mackerelは、数年前の社内のビジネスプランコンテストにid:stanakaが出したプランでした。そのときの審査方法は、応募があったプランの中から社内の部長や役員・プロデューサーがひとつずつ推しの案をピックアップし、メンターとなって事業計画部分を作成して二次審査に挑むというものでした。当時プロデューサーだった私は、「社内のインフラを管理しているMackerelを社外の人も使えるようにして、はてな流のインフラ管理を外部に輸出していく」というアイデアに感銘を受け、担当者となって一次審査を通過させました。
その後、二次審査も通過し、検証フェーズも終わり実際にプロジェクトを立ち上げる際には、自分が関わっていたプロジェクトからこれぞというエンジニアをアサインしました。実際に私がMackerelチームに深く関わることはありませんでしたが、プロジェクトの立ち上がりについては、正直言うと他のプロジェクトよりも注視していたかもしれません。気持ちとしてはメンバーと一緒にサービスを立ち上げてきたというつもりでいます。

id:stanakaから「はてなを離れて、新しいことに挑戦したい」と言われたときは、正直驚きました。が、私自身、30歳のときに前職の会社を離れて、はてなに転職しているので、何かの節目に自分を見つめなおし、挑戦できていないことに挑戦したくなる気持ちもまた分かるのでした。

後任をid:motemenにすることには、id:stanakaそして執行役員兼サービス開発本部長でもあるid:onishiと意見が一致しました。

新しいCTOとなるid:motemenとは、私がはてなに入社したときからの付き合いになります。一緒にがっつりと仕事をしたのは、最初に配属された大きなプロジェクトである「うごメモはてな」だけなのですが、そのときの記憶(思い出や熱量)が今でも大きく、私のはてな社での仕事に多大な影響を与えていると思います。私よりも若いのに、物怖じもせず大規模ウェブサービスのコードをバリバリと書く彼に、尊敬の念を抱いていました(もちろん今でも)。

その後id:motemenは、社内の様々なプロジェクトで活躍し、前述のMackerelにも一時期参加して開発を推進してくれていました。Perlスペシャリスト(と勝手に言ってみますが)でありながら、Mackerelでも採用しているGo言語でgore、ghqといった注目度の高いオープンソースプロダクトを手がけています。

今回、CTOという役割をお願いすることになりましたが、ひとことにCTOと言っても、100人CTOがいたら100通りのCTO像があるのかなと思います。

id:motemenには、はてなバリューズにもある「技術が好き」というキーワードを体現する最たるエンジニアであり、社内の技術者集団から存在をより身近に感じられつつもその背中を追いかけられる、そして本人特有のバランス感覚を発揮しつつも、ときに大胆な決断・判断ができるCTOになって欲しいなと思っています。

おそらく本人は不安なのではないかと思います。2年前、私が社長のバトンを受け渡されたときのことを思い出しました。この2年間、スタッフのみなさんが私のことを支えてくれたように、新しいCTOもまた、スタッフで支え助け合いながら組織と一緒に成長していって欲しいと思います。

最近の登壇いろいろ

5/31に開催されたAgile Japan 2016の中で『SIerから「はてな」へ/「エンジニア」から「社長」まで役割が変わる中で大切にしたこと・考えたこと』というタイトルで登壇してきました。


資料は講演の補足程度にというつもりで作っているので、資料だけ見てもよく分からないと思いますが、当日の資料はこちら(PDF)になります。

ブログで感想をいくつかいただきました。ありがとうございます。


登壇のお声がけいただいた知人(スタッフ)からは、「アジャイルは関係なくてもいいですよ」と言われていたので、完全に油断していましたが、当日のプログラムを見るとみなさん「アジャイル」とタイトルに入れてらっしゃって、だいぶ焦りました。Agile Japanというイベントなので、当たり前といえば当たり前ですね。油断、慢心、大敵ですね。

登壇後、Mackerelユーザーの方にお声がけいただき、感想もいただけて嬉しかったです。また、高校のひとつ下の後輩の方にも声をかけていただきました。新しい繋がりに感謝です。

繋がりといえば、先週の土曜日(6/11)に、京都大学で毎年開催されている超交流会でも登壇してきました。

超交流会というのは、なんとも説明が難しいイベントなのですが、id:jkondoが的確に表現されていたので引用いたします。

超交流会というのはちょっと変わったイベントで、元々は情報学科の同窓会だったのですが、「人が集まらないので、誰でも参加できるイベントにしちゃえ」ということで、情報学科と関係なく誰でも参加できるイベントになった、という、なんというか、「そんな無茶な!」、と感じつつ、その無茶さになにかちょっと興味を惹かれてしまうイベントです。実際、そうやって興味を惹かれた面白い人が、学科とか大学とか関係なしに、毎年集まってきます。

超交流会2016に参加しました(午前の部) - Otachi gonna change your world

実は3年連続の登壇になりまして、今年は「ベンチャーと育児を両立させよう!~何とかなるモンです~」というセッションに呼んでいただきました。株式会社のぞみの藤田さんをモデレーターに、外れにくいピアスキャッチを提供している株式会社クリスメラの菊永さん、新生児の訪問撮影サービス「BABYBOOTH」を提供している株式会社コビトの井上さんと一緒に、働くことと育児の両立についてや、家事・育児で工夫していることなどについてざっくばらんにお話させていただきました。
出展ブースと同じフロアで若干声が聞き取りにくいような場所での登壇でしたが、例年以上に聞いていただける方がいらっしゃり、中にはメモを取られている方もいて、仕事と育児というのが今みなさんの関心があるキーワードなのだなと実感しました。

これから先の登壇予定ですが、7/8(金)にグランフロント大阪のナレッジキャピタルで開催されるET / IoT総合技術展にて、「動き始めたIoT!どう攻める?エキスパートと徹底討論!」というセッションにパネリストとして登壇いたします。日新システムズの前川さんをモデレーターに、ブリリアントサービスの杉本さん、ソラコムの玉川さんとIoTについてのお話です。

この他、まだお話できないものもいくつかございます。もしイベント会場等で見かけた際は、お気軽にお声がけください。