はてなで役立ったSIer時代の経験・スキル

この記事は、はてなディレクターアドベントカレンダー2016の3日目です。昨日はid:yashitani_wの「これからマネージャーになるエンジニアのあなたへ」という記事でした。

ここ2年ほどは社長としての仕事ばかりで(当たり前ですね)、ディレクターとしての業務を離れて久しいですが、ディレクターに関することというお題なので、ディレクターだったときに「SIerで培った経験・技術で、はてなに転職して役立ったこと」について書いてみたいと思います。

私は2008年10月に東京の大手SIerを退職し、はてなの京都オフィスへと転職してきました。SIerとひとことで言っても、実に色々なプレイヤーがいますので、私がSIerでどんなことをしていたかをざっくりと紹介しておきます。

SIer時代

私が所属していた部署は「旅行系システム」を担当していました。いわゆる旅行の予約サイトはもちろん、特殊な端末での予約システム、旅行会社の基幹システム刷新、海外施設の登録用サイトなど、プロジェクトの内容は様々でした。大手と書いたとおり、ほとんどのプロジェクトは元請けでやらせていただいてました。小さいプロジェクトでは自分でプログラムを書くこともありましたし、大規模プロジェクトでは協力会社にシステムを発注して、そことのやり取りをメインで進めたりもしました。毎日定時帰りでリリースもスムーズという順風満帆に進むプロジェクトも、連日終電帰りでリリース前後で大炎上というようなプロジェクトも経験しました。
大手のクライアントがいる会社だと、入社してずっと特定のシステム、領域担当ということも珍しくはないので、色々な経験ができたという意味では、私は大変ラッキーだったのだと思います。

はてなで役立ったSIer時代の経験・スキル

さて、本題の「SIerで培った経験・技術で、はてなに転職して役立ったこと」について、2つ挙げさせていただきます。

ヒアリング力

例えば「Aという機能を作って欲しい」という依頼を受けたとき、本当に必要なのはAという機能ではないことが割りとあります。依頼を出した人が「Bということを実現するために、必要なのはAという機能である」と思い込んでいることがあるので、ただ単に要件を聞くだけではなく、その裏にある本当に必要なことをヒアリングしていく必要があります。SIerの頃は、クライアントとの要件定義や、協力会社との仕様調整で、このあたりの嗅覚が磨かれました。
はてなに入社後は、開発メンバーとの会話の中で発せられる言葉の裏にある本意、真の意図を知るのに大変役立ちました。人間なんて不器用な生き物なので、自分が考えていることをそのまま相手に伝えることができる人はほんの一握りしかいません。そういう前提に立って、相手のことを尊重しながら必要なことを聞き出す力は、様々なクライアントとコミュニケーションすることが多かったSIerで得られたスキルだと思います。

ブレイクダウン力

SIer時代には、徹底してタスクをコントロール可能な範囲まで分割する訓練をうけました。スケールの大きな話やシステムを、咀嚼可能な範囲まで分割して考えることができるのも、そうした経験を踏んでいたからだと思います。
目の前にそびえる大きな山でも、結局やることは目の前の道を一歩ずつ歩いていくことにすぎません。途中、難所が出てきたとしても、その場その場に最適な仕組みやツールを利用して、コツコツと歩いていけば、どんな大きな山も超えることができます。もちろん、そのためには、先を見越した準備が必要で、コツコツプロジェクトを進めていくメンバーとは別に、全体を俯瞰し、必要な道具を揃え、予め排除できる障害物を排除しておく人が必要になります。全体を分割せずに、ただ勢いのみで大きな塊に挑んでいくと、最初は進んでいくことができるかもしれませんが、途中で自分たちのいる場所を見失い、進んでいくのはこの道で良いのかと不安になって、結局ストップしてしまうことになるでしょう。

さいごに

今から8年前、SIerからはてなというインターネットサービス事業者に転職するにあたって色々と不安な点がありました。特に、SIerの中でプログラミングを経験したとはいえ、Webの世界で日々プログラミングで研鑽しているエンジニアと対等に仕事ができるだろうか、というのが一番の心配事だったように思います。
実際に入社してみて、その不安は杞憂でした。当たり前ですが、実際のプロジェクトは単にプログラムを書いていくだけでは進みません。プロジェクトを推進していくという点において、SIerでの様々な経験で得られた知識やスキルが大きな助けになったと思っています。
SIerの中で積んだ経験をフィールドを変えて活かしたいという方、ぜひご応募お待ちしております!
アドベントカレンダーと言いつつ、採用のエントリになってしまいましたね)

hatenacorp.jp