今週のお題「ちょっとコワい話」
何年か前の夏の夜の話です。
家族が寝静まった夜中、私はひとり、リビングでテレビを見ていました。
0時を過ぎた頃でしょうか、玄関に続くリビングの扉を「コツ、コツ」と小さくノックする音がします。
最初は気のせいだろうと無視していましたが、「コツ、コツ」「コツ、コツ」と何度も聞こえてきます。
家族はリビング隣の和室で寝ていたので、家族の誰かでないことは確かです。
「誰かが玄関にいるのかも?」そう考えると、背筋がぞっとしました。
知らないふりをして寝てしまおうかと思いましたが、そこに何かがいることは確かなので、一家の主としてスルーするわけにはいかず、意を決し、「誰かいますか?」といるはずのない誰かに声をかけながら、扉を開けてみました。
すると、玄関の暗闇の中からこちらに向かって黒い大きな影が勢い良く飛んできました。
思わず「アバババババ」と素っ頓狂な悲鳴をあげてしまいました。
飛んできた黒い影の正体は、玄関の虫かごで飼っていたカブトムシ(♂)でした。
自力で虫かごの蓋をこじ開け(たぶん餌をあげたときにちゃんと締めてなかった)、リビングの明かりに向かって飛んできていたのです。
子どもには大人気のカブトムシですが、羽を広げて飛んで来られるとかなりコワいです。
その後、リビングを飛び回るカブトムシをなんとか捕まえ、虫かごに戻した一夜の出来事でした。