思い出のあげパン

今週のお題「私のおじいちゃん、おばあちゃん」

おじいちゃん、おばあちゃんとの想い出を、と言われると、ぱっと思い浮かぶのは母方の祖母の顔です。

私が小学生の頃まで、両親が共働きだったので、私と弟は母方の実家に預けられて過ごしました。小学校へは、自宅から通学し、帰宅時にバスに乗って祖母の家まで移動。祖母の家の周りで遊んで、晩御飯を食べて、仕事帰りに迎えに来た母親と家に帰るという日常でした。

実家代わりになっていた祖母の家の近くには、マルミヤというパン屋さんがありました。もう今はなくなってしまいましたが、すぐそばの高校の生徒達が利用するお店で、当時は割りと繁盛していたように記憶しています。

そこのパン屋さんのパンに「あげパン」という名前のパンがありました。

みなさんが「あげパン」と聞いて想像するパンと違って、こしあんパンを揚げてこれでもかっていうほど砂糖をまぶしてある菓子パンです。一般的には「あんドーナッツ」と言ったほうがピンとくるかもしれません。ただ、さっくり揚げてあるあんドーナッツと違って、基本的には油でぎっとぎとなんですね。このギトギト感がたまらず、美味しくて、お店に行くといつもこのパンを買っていました。

小学校から、中学、そして高校へと進学し、その頃は通学で祖母の家に寄ることもなくなっていました。

大学で鹿児島県外に出て、年に何度か帰省するタイミングがありました。そのたびに祖母の家に寄って顔を見せるのですが、私が帰省するという話を聞いていた祖母は、いつもマルミヤであげパンを買って待っていてくれました。それもひとつではなく、ふたつ、ときにはみっつも。

今でも、パン屋さんで、あんドーナッツを買って食べるたびに、自分の子どものように育ててくれた祖母の顔を思い出します。

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