Mackerel 生誕秘話

このエントリはMackerel Advent Calendar 23日目のエントリです。

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Mackerelは2014年の5月にベータリリース、同年9月17日に正式リリースされ、2021年の12月現在でリリースから8年目に入りました。私がはてなの社長に就任したのが2014年の8月なので、Mackerelの年齢(?)と私の社長歴がほぼ同じとなっております。

イベントなどで、はてなという会社の紹介をすると、はてなブログはてなブックマークといった個人ユーザー向けのWebサービスはてなのことを知っていただいている方から「どうやってMackerelというサービスが生まれたんですか?」とよく質問されます。これまでもインタビューなどでサービスが生まれた経緯はご紹介していますが、アドベントカレンダーという場所を借りて改めて、その辺りの経緯をご紹介したいと思います。

Mackerelは、2013年に社内で初めて開催した事業プランコンテストから生まれました。

当時、はてなでは、毎年定期的に開発合宿を開催していました。開発合宿は、開発者を中心に新サービス作りに取り組むという目的で1泊から2泊で合宿会場に泊まり込み、チームを作って(あるいは個人で)プロトタイプを作って、最終日に発表するというものです。開発合宿の中で、おもしろいサービスがいくつも開発されましたが、ビジネスや事業性といった観点から、正式リリースという判断につながったサービスはありませんでした。そういった状況の中で、開発成果物を必須としない、事業プランのみのコンテストを開催する運びとなりました。

ちなみに開発合宿の方は、2021年現在、リモート下で復活し、新たな展開を迎えています。


当時の社内向けの事業プランコンテストの案内を一部抜粋してご紹介します。

  • 目的
    • はてなの未来を作る事業のアイデアを、社員のうち希望者から募る
    • 今の各グループでできる事業も
    • 今にはない事業も
    • 良いアイデアがあれば詳細な事業プランに落とし込むし、体制を組んで実施することを念頭に
  • 書類審査フォーマット
    • 項目: 下記項目を埋めて下さい
      • プロダクト・サービス
      • 顧客・ユーザー
      • 競合候補と彼らにどう勝つか
      • ビジネスモデルと成長シナリオ(年ごとの想定売上と、その根拠となるデータ)
    • テキストファイルで事務局にメール提出 or Google docsで事務局メンバーに共有

提出するプロダクトやサービスの条件については、事業プランという建て付け上、売上目標の目安(○年後に○億円)を置きましたが、それ以外の制限は特に設けていませんでした。

社内からは多くのアイデアが集まり、書類審査を経て、プレゼン審査に進んだのは9つのアイデアでした。その中に、当時のCTOであったid:stanakaが提出した「クラウド制御サービス」がありました。この時点では「Mackerel」という名前はついていませんでした。はてな社内で自作していたサーバー管理ツールをASP化して(プレゼン資料にはまだSaaSという言葉を使っていませんでした)提供するという内容で、当時のはてなの中では、顧客層やビジネスモデルの前例がなく、非常にチャレンジングな内容。結局、この事業プランコンテストではこのアイデアが優勝し、社内のエンジニア1名と外部のパートナー会社で開発を始め、基本機能しかない状態でご利用いただいた皆様からのフィードバックを受け、チームの拡充、ベータ版の開発、正式リリースまで繋がりました。

サービスがうまく立ち上がった要因はいくつかありますが、その中でふたつ挙げさせていただきます。

1つは「クラウド制御」についてのサービスのコンセプトが、すでに何年もドッグフーディングされており、サービスの訴求ポイントが明確であった点。もう1つは、機能がまだ充足していない状態で、多くのユーザーの方に今後の期待も込めてご利用いただき、サービスへのフィードバックや顧客のご紹介など、サービスの成長にご協力いただけた点です。特に後者については、法人、個人問わず、多くの皆様にお力添えいただきました。2021年現在、リリース当時から比べると大変多くの皆様にご利用いただけている状況です。2021年7月期の決算説明資料では、顧客数が2015年7月期から58倍以上になっていることがご覧いただけます。

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2021年7月期 通期決算説明会資料より

ここに至れたのはMackerelを応援していただいている皆様のおかげです。本当にありがとうございます。また、毎年のMackerelアドベントカレンダーも、ユーザーの皆様にご参加いただき、盛り上げていただいてありがとうございます。

これからもMackerelは、ユーザーの皆様と共に歩んでいきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。